タクシードライバーに必要な資格【採用・試験対策】

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タクシードライバーになるには、どんなことから始めればいい?

今回は、タクシードライバーになるための第一歩、必要な資格について解説いたします。タクシードライバーになった後に役立つキャリアアップの知識も合わせて紹介いたしますので、ぜひ最後までお読みいただき、満足の行く転職活動の参考にしてください。

目次

▼タクシードライバーに必要な資格は?

▼二種免許について

1.二種免許とは?

2.二種免許の種類は?

3.受験資格は?

4.学科試験

5.技能試験

6.講習

7.合格率

8.取得にかかる費用と期間

9.合格のポイント

▼タクシー運転手に必要なスキルとは?

こんな人はタクシー運転手に向いています!

1.バリバリ稼ぎたい人

2.自己管理が出来る人

3.運転が好き

4.新しいもの好き

5.コミュニケーション力がある人

▼取得すると、活用できる資格・検定

▼個人タクシーの開業では必要な資格は異なる?独立する条件は ?

▼タクシードライバーのキャリアアップは?

▼わからないことがあれば、まずは相談してください!

タクシードライバーに必要な資格は?

タクシードライバーになるためには、タクシー会社に勤める場合(法人)も自分で個人タクシーを営む場合も、ある資格の取得が必要になります。

人を乗せて運び運賃をもらうための『第二種運転免許(通称:二種免許)』が必要です。

対策をしっかり行えば合格は難しくはありません。
受験の条件や合格のポイントをしっかり確認してまいりましょう。

二種免許について

1.二種免許とは?

自分の車やレンタカーなどをプライベートで運転するためには「第一種運転免許」が必要ですが、タクシーやバスのように“お客様を乗せてその対価としてお金を頂く場合”には「二種免許」が必要になります。

二種免許が必要な車両は、第一種運転免許の車両とはナンバープレートも異なり、商業ナンバーがつけられています。

これからタクシードライバーを目指す人の多くは、まだ二種免許を取得していないと思いますが、ほとんどの会社ではタクシー会社への採用応募時点では必須条件ではなく、取得費用をタクシー会社が負担してくれる制度がありますので、まだお持ちでないという人もご安心ください。

 

2.二種免許の種類は?

タクシードライバーには第二種運転免許で十分ですが、通常の運転免許に中型や大型といった種別があるように、車両の大きさや種類に併せて分類されています。
タクシードライバーの「二種免許」の他、バスドライバーには乗車人数や車両の重量によって区分される「中型第二種免許」や「大型第二種免許」が必要です。

 

3.受験資格は?

■運転経験

・満21歳以上であり、第一種免許を取得してから3年が経過している事 ※一部特例あり

この3年という期間は、免許取り消しなどで停止されていた期間を除いた累積期間です。また、第一種免許の内、大型免許、中型免許、準中型免許、大型特殊免許のひとつでも3年を越えていればクリアです。

 

■視力

・両目0.8以上、片目0.5以上

・深視力検査で誤差が平均2cm以下

視力は第一種運転免許よりも若干厳しく設定されています(第一種は両目0.7以上、片目0.3以上)。深視力検査は立体感を測るための項目です。
特に対策は必要ありませんが、心配な方は受験前に眼科やメガネ店で相談し、コンタクトや眼鏡で基準をクリアできるよう準備しておきましょう。

 

■受験できないケース

下記のケースに当てはまる場合、受験できません。
・現在、運転免許停止期間中である
・過去に運転免許停止期間があり、停止期間を除くと免許保有期間が3年に満たない

 

■特例制度 

2022年5月より取得条件が一部緩和され、特例講習を受講することで、受験資格が下記に緩和されます。
・19歳以上で普通免許等の免許を受けており、その期間が1年を超えている者

特例講習の費用は受験会場等で異なりますが、安いところでも40万円程度必要で、費用負担制度のあるタクシー会社もまだ多くはありません。また、30時間以上の教習を受けなくてはならず、現段階では少しハードルが高い特例制度となっています。

 

4.学科試験

問題はマークシート式で、文章問題90問、イラスト問題5問の全95問です。
文章問題の内訳は、70問が一種(普通免許と同じ内容)、10問が二種(お客様を乗せた際の内容)、10問が標識にまつわる問題となっています。
配点は、文章問題が1問1点、イラスト問題が1問2点の合計100点満点の試験で、90点以上で合格ですが、一種免許の試験に比べて応用問題が多く、難易度も少し難しくなっています。
一種免許の学科試験と違う点は、「接客に関する問題」が含まれていることと、タクシードライバーだけでなく、バスの運転手向けの問題も出題されている点です。
これは、普通第二種と大型第二種、大型特殊第二種、けん引第二種の試験問題が同じであるためです。
もし既に、他の第二種免許を取得していれば、学科試験は免除となります。

 

5.技能試験

一種免許の取得と同様に、「教習所内での試験」と「路上試験」があります。
合格基準は一種免許に比べ厳しく、90点以上で合格(一種免許は80点以上)です。
教習所内では、V字型の鋭角コースの旋回や縦列駐車方向転換のコースで技術をチェック。コースはランダムで出題されます。

路上試験はお客様を乗せた想定で試験を行い、試験官が指定したコースを走行し、試験中に知らされる降車ポイントへ停車します。
例えば、走行中に試験官から突然「あそこのバス停で停めてください」と指示されるので、バス停から10m以上手前か進んだところで停め、出発地点に戻ってきます。※営業運行中のバス停から半径10m以内は駐停車禁止

 

6.講習

上記の学科試験と技能試験に合格した後、「応急救護処置講習」と「旅客者講習」という講習を受講します。

 

7.合格率

二種免許は一種免許に比べ学科試験も技能試験も難易度は上がりますが、技能試験については教習所を卒業すれば免除となります。学科試験も採用されたタクシー会社の受験サポートなどを利用してポイントを押さえておけばほとんどの人が合格できます。

しかし、取得費用負担のない会社等で教習所に通わず試験を受ける、いわゆる一発試験で受験する場合、合格率は10%以下になると言われています。

この方法であれば、教習所に通うより費用も期間も短縮できますが、非常に狭き門となることは覚悟しておかないといけません。

 

8.取得にかかる費用と期間

自分で教習所に通って取得すると、教習所に通う場合と合宿の場合で変わりますが、費用はだいたい220,000~250,000円期間は7~10日ほどで取得可能です。
取得支援制度があるタクシー会社に入社してから取得すると、一定期間勤務しないと返済義務が発生するといった会社もありますが、会社が全負担してくれますので一切かかりません。約一か月分の給料にもなってしまいますので有効に制度を活用しましょう。期間は同じく7~10日ほどとなります。

 

9.合格のポイント

学科試験・技能試験、それぞれ抑えておくべきポイントをまとめました。

■学科試験
・試験対策問題を繰り返し解いて、問題の傾向と時間配分に慣れておく

・95問中90問ある文章問題を確実に得点する

・道路交通法など、基礎的な問題を落とさない

・普通免許の試験ではなかった乗車時の接客なども抑えておく

・アプリや参考書を有効活用する

・とにかく、落ち着いて受験する(10人中8~9人は合格できます)

 

■技能試験
・普段の運転でついた癖がでないよう基本的な運転技術を見直す
(運転に自信のある人ほど要注意です)
・日常では運転することがない鋭角コースは重点的に練習する
・車両幅やタイヤの位置の間隔をつかむ
・切り返しの際にタイヤを縁石にぶつけたり乗り上げたりしないよう注意する
・路上試験では乗客が乗り込む後部座席のドアがスムーズに開く位置に停車する
・方向転換は他の車の迷惑にならないように(何度切り替えしてもOK)
・小さなミスをしないよう、焦らず平常心を心がける

タクシー運転手に必要なスキルとは?

タクシードライバーとして必要な資格は以上になりますが、日々の営業には以下のスキルが必要です。資格試験に合格するためにも必要なスキルですので、これからタクシードライバーを目指す人は今日から普段の運転でも意識して取り組むと合格に近づくことができます。

 

(1)安全運転

タクシードライバーは安全運転であることが何より大切です。
急ブレーキや急発進を避け、揺れが少ない運転で快適な移動空間の提供を目指しましょう。
また、事故を起こさないよう注意する集中力の高さも求められます。いつでも周りに気を配り、お客様だけでなく周囲の人を不快にさせない丁寧な運転を心がけてください。

 

(2)接客・コミュニケーション

タクシードライバーは接客業です。目的地とコースの確認はもちろん、気配りができることも大切なスキルの1つです。人と接するのが好きでコミュニケーション能力のある人やどんな人に対しても笑顔で接することのできる人、時には聞き手にまわることが出来る人。そんな人はタクシードライバーが天職かもしれません。

ドライバーの中には「タクシードライバーはお客様との一期一会の出会いが刺激的で飽きない仕事」「お客様との会話を楽しんでいると1日の流れがとても早い」と言う人もいます。

 

スキルを活かしてストレスとは縁のない、自由な働き方を手に入れてください。

 

(3)地理の把握

タクシードライバーである以上、地理に詳しいに越したことはありません。

最近ではカーナビが搭載されていることも多くなりましたが、カーナビに目的地を入力する時間はお客様にとって意外とストレスに。また、ナビの案内は幹線道路を選ぶことが多く、お客様からするとイメージしたコースと違う遠回りと感じてしまうことも少なくありません。

お互いに気持ちよく運行するために、ある程度の知識を持った上で「ご指定のコースはございますでしょうか?」と認識を合わせていくことが大切です。

 

タクシーあるあるですが、どんな人でも初めは道に詳しくありませんが、毎日の営業内容を振り返ったり、先輩に聞いたり、お客様に教わっていくと、1か月で主要な地理が把握できるようになります。そして1年もするとかなり詳しくなり、詳しくなるにつれ地理が好きになっていきます。

人から道を聞かれた時、嬉しくなってマニアックな道まで教えたくなってしまったら、あなたも一人前のタクシードライバーです。

 

▼道の覚え方にはコツは、こちらの記事で詳しく解説しています。

参考記事:タクシー運転手が実践!道の覚え方・道路を覚えるコツ

 

こんな人はタクシー運転手に向いています!

1.バリバリ稼ぎたい人

タクシードライバーの仕事は、今日実践したことが今日の売り上げに反映されます。日々考え続け、動き続けられる人は環境の変化にも強くタクシードライバーに向いています。他にも稼げるドライバーの特徴には少し傾向があります。

 

2.自己管理が出来る人

タクシードライバーは良くも悪くも自由な仕事です。目標を設定するのも、決めたことを守るのも自分次第です。また、健康管理も大事です。お客様を捕まえるため、周りの人の動きに敏感になる必要があります。いつもの運転以上に集中力が必要です。

 

3.運転が好き

売上げが良いタクシードライバーは休憩時間以外、お客様を求めて常に車を走らせています。それを苦に感じない人はとても有利です。

 

4.新しいもの好き

目まぐるしく変化するタクシー業界。配車アプリをうまく活用できるかどうかでも売上に大きな差が。日々の情報収集を習慣化し、実践できるような人は大きな強みとなります。

 

5.コミュニケーション力がある人

タクシーの利用客は「移動時間の短縮」といった利便性はもちろんですが「快適である」という点も重要視しています。時には聞き上手が、また違うお客様には話し上手が求められるケースがあります。会話が弾むと、目的地が「駅まで」から「自宅まで」のように顧客単価アップに繋がることもあります。

取得すると、活用できる資格・検定

下記の資格・検定はなくても問題ありませんが、あると日々の乗務やキャリアアップに有利になるものを一部ご紹介します。

 

(1)観光系の検定

旅行客を乗せた時の会話のネタとして、またお客様のニーズにあった目的地の提案ができれば乗車距離が長くなり顧客単価アップに繋がります。観光タクシーのドライバーになる時にも便利です。
「旅行地理検定」といった観光系の資格の他、「英検」や「TOEIC」などのコミュニケーションスキルもあると便利です。

 

(2)秘書検定
一般のタクシーに比べて高い付加価値のあるハイヤー。ハイヤーのドライバーは秘書検定を取得していることが多いのが特徴です。マナーや来客対応の作法など、社会で役に立つ一般常識も身につけられるので持っていて損はありません。

 

(3)運行管理者
実務経験が必要になるので、タクシードライバーになった後になりますが、運行管理者の資格があるとキャリアアップを目指す際にも自身の選択肢を広げてくれます

個人タクシーの開業では必要な資格は異なる?独立する条件は ?

個人タクシーとして独立するには、タクシー会社に勤めるのと同じく「二種免許の取得」が必要です。それに加えていくつか条件があります。
・過去に免許取り消し処分を受けていないこと
・申請日以前の3年間と申請日以降に反則金の納付していないこと
・65歳未満であること

 

また、年齢ごとの条件があります。

■35歳未満の場合:

・申請しようとする営業区域内の同一タクシーもしくはハイヤー事業者に継続して10年以上雇用されていた経験がある

「同一の」とあるのでタクシー会社を転職していた場合はNGです

■35~40歳未満の場合:

・申請しようとする営業区域内で、自動車の運転を専ら職業としていた期間が10年以上であること

・タクシーやハイヤーの運転経験が5年以上、かつ3年以上は継続して従事している

期間10年にはバスやトラックドライバーのキャリアも50%換算で適応されます。また、申請日以前の10年間が無事故無違反なら、40歳~65歳未満の要件で適用を受けることができます。

■40~65歳未満の場合:

・申請日以前の25年間で職業ドライバーだった期間が10年以上であること

・申請する営業区域内でタクシーやハイヤーの運転経験が申請日以前の3年以内に2年以上あること

期間10年にはバスやトラックドライバーのキャリアも50%換算で適応されます。

 

これらの条件をクリアした上で、個人タクシー協会に申請して営業許可の認可を受けられると開業することができます。
認可を受けるには、新たに個人タクシーとして参入する「新規許可」と既に認可を受けている事業者から譲り受ける「譲渡譲受」がありますが、現在、東京などの一部地域では新規許可を制限しているので、家業を継ぐなどでない限り新規参入に高い壁があります。

その点、タクシー会社にとっては競合が増えにくい安定した業界であると言えます。

 

▼個人タクシーの年収事情について知りたい人はこちらの記事もご覧ください。

参考記事:個人タクシードライバーは儲からない?平均年収や働き方を徹底比較

タクシードライバーのキャリアアップは?

タクシードライバーという職業には経歴を生かせるキャリアアップの道がいくつかあります。ここでは一般的なものをご紹介します。

 

個人タクシー
色々と厳しい条件は揃いますが、自由度の高いタクシードライバーの中でも、さらに自由度が高い個人タクシーですので、こちらの方が向いているという人もいるのではないでしょうか。

 

・タクシー会社の本部スタッフ(管理職等)
タクシー会社によりますが、運行管理者や課長、部長といった管理職の道が用意されている場合があります。将来的なライフステージにあわせ、挑戦できるタクシー会社を選んでおくと安心です。

 

ハイヤー、役員運転手
一般のお客様ではなく、要人などのお客様を乗せて運転するドライバー。
平均年収でいうと幅はありますが、更なる収入アップが見込めます。給与形態や勤務形態など、同じドライバーでもタクシードライバーとは異なる点が多い職業です。

 

介護タクシー
ユニバーサル研修などの講習を受け、介護タクシーのドライバーに転職することも可能です。今後さらに、高齢者向けのサービスは需要が高まることが予想されるので選択肢の一つとして考えておいてはいかがでしょうか。

 

▼『新卒から定年退職までをドライバーで続けた場合の生涯年収』についてシミュレーションした結果はこちらの記事でご覧ください。

参考記事:タクシーの生涯年収は大手企業を上回る!?

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これからタクシードライバーを目指す人は「免許取得の費用は負担してもらえる?」「試験に合格するまで働けない?」など多くの不安があると思います。

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